BT 017 Uncle Texx – Welcome 2 Ma World EP

Posted on 11月 24, 2012 by



購入: Bandcamp

Uncle Texx – Welcome 2 Ma World EP
5Track + 1 Bonus Track EP

All Traxs Made by: Uncle Texx from Mie Japan
Mastering by: Toshiyuki Kitazono
Jacket Design by: Koichi Furutono
Illustration by: Alan Kaoldham

 トラックの端々から染み出てくる、老成というか、ひねくれというか、一筋縄でいかない違和感、それがUncle Texxの魅力である。意識的なのか、無意識的にそうなっているのかは判然としないが、Jukeのフォーマットや制作の作法を素直になぞることを避けているようにも見えるいびつなトラック群には、完成度や洗練という「うまさ」の次元を超えた何かがある。

 録って出しに近いスタイルのためかリリースペースはかなり早く、サウンドクラウドでも多数のトラックが試聴できる。今作は、そんな彼の実質的なセカンドシングル(デビューシングルは大阪のNODEレーベルよりCDRで発売されている)。

 レーベルによると彼はまだ20歳という話だが、マイアミベースからエレクトロ(フレンチエレクトロではなく)、フレンチポップス、日本のニューウェーブ、そしてジュークまで、音楽的趣味は広範かつバラバラ。特異な好みを濃厚に反映しているサンプルチョイスから、相当な年齢と誤解されることも多いらしい。

 そうした突き抜けたネタ感とともに、特徴的なのが三連符を多用するリズム。RP BooとTraxmanを敬愛するとあって、「変則的であること」への執着が感じられるスネアの打ち方や、ネタのチョップ。リスナーを気持ち良くさせるより、座り心地の悪さやヤバさを感じさせる不穏なムードこそ、Uncle Texxの真骨頂だろう。

 正直なところ、メロウなネタを使って“そういう感じ”にすることは、手練手管のトラックメーカーにとっては、さほど難しいことではない。しかし、彼のトラックには「不器用さ」にしか出せないいびつさがあり、それは器用なトラックメーカーには絶対に作り得ない味となってトラックの端々に現れてくる。そしてむしろ、「シカゴなるモノ」を目指すリスナーやトラックメーカーは、彼が体現する計算できない違和感、アクを求めているのだ。

 パトカーのサイレンが不穏な「Mappo」、ブレイクで突然フレンチポップスのボーカルが飛び出す無茶苦茶な展開の「Contact」、プラスティックスの名作をコピーした「C.O.P.Y.」、裏打ちのレゲエがFootworkになっている「Up’n Down」など、バラエティというか支離滅裂な構成。なかでも、ソフトロック?をサンプリングした「Fog」は、ネタ選び、展開ともに非凡さが感じられる。また、ボーナストラック(フル購入者のみ無料でDL可能)は、彼が完全にRP Booの影響下にあることを如実に表す非常にハイクオリティなトラックなので要チェック。

 オリジナリティは、すでに自分の中にある。当たり前だがなかなか気づくことのできないことを、彼のトラックは語っている。

Released by: Booty Tune
Release/catalogue number: BT 017

released 24 November 2012

 

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