BT019 Hayato6go Promised Land EP

Posted on 1月 31, 2013 by



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東京・下北沢にあるレコード店「Disc Shop Zero」では、Jukeに近接・交配・横断するベース系音楽を「Juke-ish(ジューキッシュ)」と名付け、独自の切り口で提案している。直訳すれば「Jukeっぽい」というほどの意味だろうが、多様な音楽をどん欲に吸収し、レゲエとレイヴで租借して変成する、UKの土地柄が良く表れた造語だと思う。
静岡を拠点に活動する隼人6号の今作は、ジャケットから漂うラスタなテイストに違わず、Juke-ishなサウンド。レゲエのホーンやクラシックなネタ使い、シカゴとは異なる裏拍感のあるハーフテンポなど、前作「In Da Club Juke EP」と比較してもハイブリッド感は一層増している。随所にJukeとJungleの幸福な出会いがある。
彼は日本のJukeシーンが注目を浴びはじめるかなり前の段階から、JukeとJungleをブレンドではなく、ハイブリッド=本質的に融合させる試みを続けてきた。すでにJungleシーンでは名を知られた存在だったが、DJ Rocとの出会い以来、突如Jukeに言及し、Jukeトラックの制作を始める。2011年に同様の視座を持っていたのは日本ではもちろん彼だけで、世界でも1~2人しかいなかった。Jungle+Jukeトラックがかなりの数散見される現在、彼の先見性は評価されるべきだし、その功績と照らし合わせれば、現在の認知度は過小評価そのものと言える。
Jungleらしさを感じるトラック群に対比するように際だっているのが、「OHIO」と「おしずかにJUKE feat.尖閣 from 豆尖」の2曲。
OHIOはその名の通り、Ohio Playersの「Funky Worm」ネタ。実はこれシカゴでは定番中の定番ネタで、DJ ClentやDJ Mannyらが使用しているが、彼らと比べても全く遜色ないシカゴトラックとなっている。声ネタ、サイレン音などが乗り、むしろシカゴよりパーティ感が強化されている。
そして、キラーな「おしずかに~」は完全にネクストレベル。Jukeで詩を読んでいる曲なんて、おそらく古今東西存在しない。
Satanicpornocultshopの「sunshine baby」やSaucemanの「howyoufeel」、Paisley Parksの「GO」などと同じく、“革新的なのにポップ”のレベルまでJukeが昇華されている希有な曲。トラックと歩を合わせるように、ゆっくりとメロウに駆け上がる尖閣のポエトリーリーディングも素晴らしい。昼下がりのひなたぼっこみたいな曲調もあって、聞いているうちにジャンルの定義なんてどうでも良くなってくる。
すこし乱暴だが、そもそも本質論で言えばシカゴ以外はすべてJuke-ishに過ぎない。一部を除いては、日本も同様だ。結局僕らは、「Juke-ishというゆるい枠」のなかでどれだけ新しいこと、刺激的なことができるのかを探しているのかもしれない。そしてそれが「日本のJuke」になればいい。隼人6号はいち早くそのフィールドへ飛び出し、突き進んでいる。今作で驚いている僕らを尻目に、もう彼は新しい何かを探しに出発している。

Hayato6go – Primised Land EP
6Track + 1Track(Bandcamp Only) EP
All Tracks Made by: Hayato6go (from Shizuoka)
Mastering by: Toshiyuki Kitazono
Jacket Design by: SHAKA-ITCHI shakaitchi.blogspot.jp
Released by: Booty Tune
Release/catalogue number: BT 019

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bt008_hayato6go
In Da Club Juke EP
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hayato6go_promisedland

 

 

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